報道陣向けの講演会で、Yはこう公言した。「目標はアメリカのカジュアル衣料チェーンのGAP(ギャップ)。コカ・コーラやマクドナルドのような国民ブランドである点が強み。ただ最近は、その本質からはずれて、ファッション企業と錯覚しているのでは」サンフランシスコに本部をおくGAPは、99年度の年商116億ドル(1ドルが120円として1兆3920億円)、従業員14万人におよぶ、現在のユニクロにとってはガリバーのような企業だ。アメリカのほかに日本、イギリス、フランス、ドイツ、カナダの5ヵ国に進出していて、総店舗数は3284(02年7月現在)。日本には95年9月に東京・数寄屋橋阪急に1号店を出し、ユニクロが原宿店を出した翌年、原宿にも進出してきた。日本では今のところ「GAP」と「GAPキッズ」の2業態しか出店していないが、ハイクラスの「バナナリパブリック」、低価格の「オールドネイビー」を本国で展開している。YのGAP観。「少なくとも日本では、ユニクロはGAPに勝てると思う。それはなにも商品の価格や品質の面だけじゃない。ぼくはGAPの最大の弱点は、業態が分化(GAP、バナナリパブリック、オールドネイビー)している点にあると見ている。つまりセグメントすることで、自ら業態としての制約をつくっているのではないか。GAPはオールドネイビーより下の価格で売れないし、バナナより高価格、高感度でもいけない。(仮にGAP以外の業態が出てきても)そこらへんが今の日本の市場で通用するかなと。そもそもGAPのブランドメーキングとわれわれのそれとは異なる。GAPはあくまでもファッションとしてのブランドだが、ユニクロは、たとえばコーラとかビールといったような、もっとマスな生活消費財としてのナショナルブランドづくりをめざしている」