一点ずつの交渉ならまだしも、商品が複数あるときは、価格の組み立て能力も必要になってきます。例えば商品が4点あったとしたら、どういう買い方をしていくかということを3パターンくらい先に考えておかなくてはなりません。トータルの値段を言ってOKになる場合もありますし、4点の商品の中でも特に1点だけ気にしている場合もある。それぞれの値段を確認したいと思っているお客様もいるわけです。だから、交渉に入る前にその3パターンを作っておくのです。私の場合、お客様が来て4点の商品を見せてもらったら、その段階で瞬時に3パターンを組み立てます。時間にしてほんの数秒。この組み立てを早くできるようになればなるほど、プロフェッショナルに近づくと言ってもよいでしょう。組み立てが終わったら、次はトークの中でお客様の傾向を探り出してゆきます。たとえば私が「これなんか去年流行りましたよね」と言ったとします。そこで「え、でも今も流行ってますよね」と相手が言うなら、その商品が本命なんだと判断できます。トータル額の中で、その商品のウェイトが大きくなるわけです。逆に「そうですね」とあっさりしていたり、「ピークはおととしくらいかな」なんて自ら否定的なことを言うようなら、それは本命ではないと思っていいでしょう。質問のひとつひとつはたいした内容ではありません。でも、それに対する相手の反応をちゃんと確認することで、ある程度の推測は可能になってきます。これらの細かな情報を話しながらきちんと吸収し、引き出しを何個も作っておく。そして最後、クライマックスに来て買取額を言うときは、まず全体の金額から言います。4点て15万円です、という風に。なぜかというと、あまり市場価値がなく、値段がつかないような商品が混じっていた場合も、トータル額で伝えればまとめて同時に売っていただけるからです。それで「あ、そんなになるんだ」という反応ならそれで終了。ゲームクリアです。でも「え、そんなに安いの」という反応の場合は、残念ながら二面突入。「一個ずつの値段を言いなさいよ」ということになって、これが5万円、これが6万円というように言っていくことになります。その場合は、お客様の本命商品と某質屋の欲しい商品が合致しているなら、最悪でもその商品だけは売っていただけるよう、その値段をまず言う。「これは頑張って高くつけたんです」と言うわけです。お客様の心理として、そのタイミングで最初に言うことによって、いい値段をつけてもらえたんだという満足感がありますから、他の値段に関してはさほど気にならなくなってしまうのです。つまり、人の4タイプ、商品ごとのパターンに加え、お客様の心理をすばやく的確に把握し、どういう気持ちでいるのかを、できるだけ早くシミュレーションすること。経験を積むしかない部分でもありますが、ざっくりとパターンを考えるだけで全然違うと思います。